エーザイの認知症薬「レカネマブ」、厚労省が正式承認

エーザイの認知症薬「レカネマブ」、厚労省が正式承認
製薬大手のエーザイは25日、米バイオジェンと共同で開発したアルツハイマー病新薬「レカネマブ」について、厚生労働省から製造販売の承認を取得したと発表した。提供:Eisai(2023年 ロイター/Eisai)

製薬大手のエーザイ(4523.T)が25日、米バイオジェン(BIIB.O)と共同で開発したアルツハイマー病新薬「レカネマブ」について、厚生労働省から製造販売の承認を取得したことへの考察です。

原因物質に直接働きかけ取り除くための初めての薬で、8月に専門家部会が使用を認める決定をしていた。米国では7月上旬に治療薬としてすでに承認されている。

薬価(薬の公定価格)の設定は、米国での年間費用が日本円で390万円程度になる可能性が高い。

2023年1月にFDAが「迅速承認」したレカネマブは、認知機能の低下を遅らせる効果があることが初めて治験で示された薬。今回の承認は、レカネマブが早期アルツハイマー病患者の脳内のアミロイド斑を除去することを示した第3相治験に基づく。治験開始から18カ月後に患者の認知機能を評価したところ、レカネマブを投与された患者では、プラセボ(偽薬)を投与された患者に比べ、認知機能の低下が27%少なかったという。この結果は2023年1月5日付けで医学誌「The New England Journal of Medicine」に発表された。

しかし、米バンダービルト大学医療センターの神経科医マシュー・シュラグ氏は、治験で示された効果はごくわずかだと批判し、投与によるリスクや安全性を懸念している。氏は、アミロイドβはアルツハイマー病という複雑なパズルの1つのピースにすぎず、病気の進行を遅らせたり止めたりする上で重要かどうかはわからないと考えている。

こうした中、アメリカの製薬大手「イーライリリー」も開発中のアルツハイマー病の新薬ドナネマブについて、国の承認を求める申請を行ったと発表しました。(下記画像:新聞記事参照)投与効果について整理すると、インフルエンザワクチンなどがプラセボに対しての相対的有効性が95%であるのに対して、レカネマブ、ドナネマブがそれぞれ27%35%と低く、結果的に薬価が高額となる。人類の英知と裏腹に医療費が高騰する大きな要因となっている。有効性から言えば50%以下のワケであり、承認薬として認可するには特段のワケがあったに相違ない。(経済原則に則れば、50%以下の有効性というのは50%以上の無効性を意味する。)

他方、投与による脳内浮腫等はプラセボ(偽薬)を投与された患者に比べ、下表に整理したようにいずれも大きく10%~20%前後と大きくメリットがあるとは言いがたい。このあたりが、学者によって議論の焦点になっている。一般に、公式発表は有効性に偏りがちだが、無定見に発表を信用するのは避けた方が良い。

認知機能の低下はプラセボ(偽薬)を投与された患者に比べ 脳内浮腫等は、プラセボ(偽薬)を投与された患者に比べ
エーザイのレカネマブ 27%少なかった レカネマブ投与群の約13%に脳の腫れ、約17%に脳出血の副作用が見られたのに対し、プラセボ群ではそれぞれ2%と9%にとどまっていた
イーライリリーのドナネマブ 35%少なかった 脳内浮腫は21.9%(36.8-14.9)多かった

参考記事:

NIKKEI:アルツハイマー病新薬「レカネマブ」 効果や副作用は?

NHK:アルツハイマー病治療薬 レカネマブの効果と副作用は?

 

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